真マジンガー 衝撃!Z編


勝利するということは、何も良い事ばかりではない、と言う話。
スパロボとか、シンジみてぇなキャラ付けの主人公を説教するだけで終わっているアニメとかじゃ間違っても吐き出さないシローの台詞は、悲しいけれど名台詞だったと思います。
そうだよなぁ、それが一番の生の声だよな、ドナウが勝ってもダメだったけれど、マジンガーにも勝って欲しくなかったんだ。
あと甲児君の、それっぽい同情の台詞は吐かずにドナウと戦い、いざ勝利すれば喜ぶこともなく、目を閉じてシローのそしりを待つ姿は、ちゃんと兄貴やっているよなと感心。
でも戦わざるを得ないよね、マジンガーは平和を守らなくちゃいけない、ここで負けてはいけないのだから。
だから、出来る確率の低い説得に力を注ぐ事なんてできなかったし、ましてや相手がマジンガーと互角以上に渡り合えるなら尚更だ。
本当、今川監督ってばヒーローの描き方が分かっているわ。
この素敵さの10分の1で良いからそこらのラノベヒーロー(主にカミやん)に分け与えてくれねぇかな。
精神論と根性論ぶちまけた上でやり直させるんだもん、彼の説教って要するに自分の世界に適合した存在になれってメッセージだよね?
それとシュトロハイムのエゴもね、もっと違う台詞が出せるだろとは思うけれど、でもそういう風になっちゃうのが科学者だよねシンシアさん?と、ターミナルで寝ているだけの、そして、いずれ来る未来に自分の名前を残す為だけにゴールテープを張っている馬鹿にエールを送りたいと思います。
女将さんの台詞は、マルグリッド姉妹に一番クリティカルに来る台詞だよねぇ?
話の流れは確かに遅いけれど、見るべき所が多すぎるから困る。
自分の中でドモン=カッシュが最強と感じているのは、熱血とか根性なのは自分に対してだけで、他人に対しては―――ヒーローとしての行動はなんであるかを問われた際、たぶん何も答えないだろう。
何も答えず、黙って殺るか、でなければ黙って救う、恩着せがましい事しない、っていうかテキーラガンダム戦とかそうだったし。
あと、他人の心の弱さに対してはノーリアクションを貫くよね、そんな甘ったれた事を言うな、みたいな発言はなし。
レインさんに限っては酷いことしていたけどさ!あれってドモンタンの可愛い部分が出ているだけだと思うよ、レインさんに甘えているだけさ。
さておき、これって重要な事だぜ?個人主義を弁えている。
心の弱さに知った風な説教垂らして更正させるの、今一番流行のヒーローじゃん?でも正しくないわな。
だって世の中勝つ奴がいれば負ける奴もいるんだ。
弾かれる奴、突き落とされる奴はどこにでも生まれてしまって、そんな時負けたお前が悪いってぶちまける奴はヒーローじゃないもんよ。
ただ、追い詰めてどうすんだ?って誰も言わないよねぇ、言ったら面倒ごと背負い込まれるだけって悟っちゃうもの。
でもドモンは、少なくともファイトで戦った対戦相手には、拳を交えた仲間と仲間って言い切るだろうね、また勝負しようって。
未来世紀は基本死を否定するけど、気をつけないと上下関係が出来上がって沼にはまる世界でもあるから、負けた人へのリカバリーを忘れたらたぶんすぐに滅び去る。
ガンダムファイトでファイター同士どころか国家間でランキング作られて、そこから差別感情が発生して、恨み辛みがそれこそ第七次宇宙大戦規模の世界戦争を呼び起こすだろう―――そうなったとき、その首謀者は今風のヒーローがつまんねぇ説教して終わらせるだけで、結局何も解決できない、第1話に出てきた刑事さんを生み出し続けるだけだ。
そこに気付いたからこそ、46話の台詞がはじき出せるのだろうし、自分の栄光なり名誉なりを一歩引いて扱えるから嫌味なキャラにもならない。
気が付いたらGガン話にシフトしたけれど、ともかく今川監督は分かりすぎていて凄い、という話。