ネコっかわいがり! 感想―――Memento mori.


Odi et amo.(私は憎み、そして愛する)


・・・ウミの死に顔が頭にこびりついて離れません。


ただひたすらにイカれている、としか表現できない奇作。
兎に角、幸せな世界からの突き落とし方が半端無い。
あの半分は大法螺で、もう半分は完全な真実を書きなぐりやがったパッケ絵からして、この作品がいかに卑怯なペテンであるか理解できるだろう。


Tu fui, ego eris.(私はあなたであった、あなたは私になるだろう)


別に、つまらないだの金返せだのという話ではなく。


見事なまでに破壊された世界観、だけど決して超展開でもなんでもなく、そうなる事が最初から定められていた事は、1週目の時点で既に明かされているという逃げ場の無い箱庭、崩壊は既に予定されている。
元となった世界観を破壊しその上に新しい世界観を、と言う意味では今川監督の作風に通じるものがあるかもしれない。
ジャイアント・ロボにせよ鉄人28号にせよGガンダムにせよ、いずれもが人間の根源的な部分への問いかけを残していた事を踏まえると性質的に近いか。
まぁそれはそれとして、こんな鬱状態は初めてだ、もしらばだって究極的には救いを与えていた作品なのに、ネコかわはただひたすらに救いが無い。
エンディングにおけるアリスの一言は実に強い言葉であり、酷く残酷。
トゥルーエンドの題名は「幸福の王子」なんだけど、本当このセンスはどうかしている、としか。
プレイヤーから見た登場人物の死はどうしようもない絶望なんだけど、その死でしか救えない命があるという矛盾。
全てをただがむしゃらに否定する子供の八つ当たりみたいな落書きの世界じゃない、彼らの死こそがその世界においてもっとも歓迎されるべき幸福であった。


Pios et probos praemium vitae aeternae exspectabit.


・・・恐らく自分はこの世界を愛せないんだろうなー、やはり最後は笑っていたかったから。
このような結末を用意したからこそひどく惹きつけられたことは真実だし、
このような結末を用意したからこそ絶対に愛する事ができないのもまた真実。
考えさせられたかといれば何にも考えないというゲンハ様みたいな主義の自分ですが、
ひたすらに酷く残酷なこの物語には全身全霊の憎しみと、敬意を捧げるべきだと思うのです。